かがわしっき
香川漆器
漆器 | 香川県 | 知る ◢
香川漆器は、香川県の高松市、丸亀市を主な産地とする漆器で、国の伝統的工芸品のひとつに指定されています。代表的な製品としては、飾棚、盆、茶托(ちゃたく)、菓子器、座卓があげられ、種類の豊富なことでは全国一です。伝統の技法を生かしたものから天然木の持ち味を生かしたものまで、豊かで落ち着きのある生活空間を彩る家具として、幅広く作られ、特に「蒟醤(きんま)」、「存清(ぞんせい)」など技と心が製品に反映されているところから需要が伸び、座卓の生産高は全国シェア75%を誇っています。使っていると歳月とともに「渋」と「味」が美しさを増し、独特の色調が出てくることが香川漆器の特徴です。
歴史は、江戸時代までさかのぼります。江戸時代前半の寛永15(1638)年に水戸徳川家から高松藩に入封した松平頼重が、漆器や彫刻に造詣が深く、これを振興したことに始まります。玉楮象谷(たまかじぞうこく)という人物が、松平頼重公の奨励のもと、香川漆器の礎を築きました。彼は「蒟醤(きんま)」、「存清(ぞんせい)」、「彫漆(ちょうしつ)」など、タイや中国から伝わってきた漆器技法を研究し、それらに日本古来の技法を加えて独自の技法を生み出しました。明治2(1869)年、64歳で亡くなるまで3代の藩主に仕え、数多くのすばらしい作品を残しました。これらの功績を称え、高松市中央公園には玉楮象谷の銅像が建てられています。
また、高松藩士後藤太平は、渋味のある漆塗柄を研究し、下絵についた塵の文様にヒントを得て、のちに「後藤塗」といわれる塗手法を創案しました。
香川の地で漆器がこれほどまでに発展したのは、古来からの芸術的な環境と天分に恵まれていたことだけでなく、茶や花を愛した「松平頼重公」の奨励があってこそだと言われています。現代において、伝統技術を継承し発展させた功労者として、重要無形文化財蒟醤技術保持者になった故磯井如真や重要無形文化財彫漆技術保持者、故音丸耕堂が有名です。今なお香川県漆芸研究所において、後継者の育成が積極的に行われており、多くの著名な漆芸家を輩出しています。
香川漆器の主な技法
蒟醤(きんま)
何回も漆を塗り重ねた上からケンで文様を色ごとに線彫りし、そのくぼみに色漆を象嵌(ぞうがん)していくものです。朱色、黄色と漆の色ごとに彫り上げては埋め込む作業を繰り返し、全部の埋め込みが終わると表面を平らに研ぎ出すといった独特の技法です。その作業はおよそ60工程を越えると言われています。代表的な作家として人間国宝の故磯井如真がいます。
彫漆
彫漆とは器の表面に漆の層を何層も厚く塗り重ね、この漆の層を彫り出して、美しい模様を作り出す技法の総称です。発祥は中国で唐の時代からあったと言われています。単色を塗り重ねて濃淡を出す技法と、2色以上を塗り重ねて色彩豊かな模様を作り出す技法があり、香川漆器では多色の重ね塗りにより大変色彩に富むものも作られてきました。厚く塗り重ねるために、時には漆を百回以上も塗りかさねることがあり、塗り重ねるためには下の層が乾くまで待たなければならないため、制作に大変時間がかかります。漆を塗り重ねるための長い時間と、わずか数ミリの漆の層から色を掘り出すための刀の一瞬の技法が組み合わさることによって立体感のある作品が生み出される難易度の高い技法です。代表的な作家として人間国宝の故音丸耕堂がいます。





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