わし
和紙
和紙は日本特有の紙で、古来からの技法で手で漉くものが大半ですが、一部機械で漉くものもあります。日本の伝統的工芸品に指定された和紙は、内山紙(長野県)、美濃和紙(岐阜県)、越中和紙(富山県)、越前和紙(福井県)、因州和紙(鳥取県)、石州和紙(島根県)、阿波和紙(徳島県)、大洲和紙(愛媛県)、土佐和紙(高知県)と9種類あり、現在でも手漉きで作られています。
もともと中国の蔡倫(さいりん)という人が紙漉きの技術を広めたと言われており、その技術が朝鮮半島の高句麗を通って、日本に伝えられたのは、7世紀の初めごろのことです。製紙が行われるようになったのは、ヨーロッパと比べると約500年も早いのです。全ての日本の伝統文化がそうであるように、和紙の製造技術も日本人の創意工夫、丁寧さ、緻密さ、器用さにより、その後独自の進化を遂げました。
和紙は薄く、丈夫でしかも独特の風合いをもった美しい紙です。そのため世界の文化財の修復に現在も利用されています。この和紙の製造技術の発展と普及が日本の奈良・平安時代の王朝文化に大きな影響を与えました。770年に作成された経典は、グーテンベルグの活版印刷より700年も前の世界最古の印刷物でもあります。
和紙は様々な素材、技法が時代とともに開発されて、様々な種類、様々な用途に利用されています。大きくは日本建築の中に、障子、襖、屏風、つい立などに利用されています。これは和紙自体が多孔質素材であり、湿度の高い時には湿気を吸収し、湿度が低い時には湿度を放出する湿度の調整機能に優れているからです。とくに夏の蒸し暑さを嫌う日本人にとって欠かせないものでした。
もちろん、現在も日常生活の中で様々な形で利用されています。絵や文字を書く紙として、ハンカチや包装紙、千代紙、装飾、扇子、団扇、財布、紙幣など、さらには、最近では様々なインテリアの素材としても注目されています。また和紙に油を塗布させる技術、工夫により傘、合羽(レインコート)、耐水性を必要とした包装材などにも利用されております。今の時代においても和紙が利用される理由としては、丈夫さ、耐久性ももちろんのこと、その独特の風合いが生み出す美しさ、手漉きの温かみ、そして化学薬品をほとんど使わず、天然の植物から作られるため、環境にも優しいことなどがあげられるでしょう。
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