きしゅうたんす

紀州箪笥

木工品 | 和歌山県 | 知る

紀州箪笥は和歌山県和歌山市で生産されている桐箪笥です。桐材特有の上品な木肌と美しい木目模様を生かした桐箪笥は、デザインもシンプルで繊細な美しさが漂い、機能的にも軽く耐湿性に優れているなど衣服の収納には最高の箪笥とされており、世代を越えて引き継がれる最高級の家具として今も愛されています。中でも紀州箪笥は、火にも水にも害虫にも強く、また蒔絵をほどこしたものや端正なデザインのものなど、その技術と美意識が大阪をはじめとし、全国的にも高く評価されています。

紀州における桐箪笥づくりの歴史については、定かなものはありませんが、「南紀徳川史」には、江戸時代後期に、落雷によって和歌山城の天守閣等が炎上し、天守閣再建の際に、長持等の箱物家具が作り直されたという記述があります。また、和歌山県各地の町家からは、19世紀中頃の古文書や箪笥が発見されており、それらは当時武家以外でも婚礼調度品としての箪笥が和歌山で作られていたことを示唆しています。

桐箪笥は見た目の美しさだけでなく、機能的にも非常にすぐれています。外気に敏感で湿気の多いときには水分を吸い、乾燥時には水分を出すという恒湿性をもっているので火災などの場合は水を吸って燃えにくく、「身を焼いて中身を救う」といわれています。実際に火災で外側が焼けてしまってもその焼けた部分だけを修復することでその後も使えることが多いのです。また、桐箪笥は伸縮や狂いが少なく、軽いので、手入れをすれば何世代にもわたって、長年使うことができます。これらの特徴が最高級といわれる所以であると考えられます。

1. 造材

まず良い桐を選ぶことから始まります。樹齢30〜60年の年輪の細くそろった桐の丸太を柾目材に、その他は板目材に。半年から2年の間天然乾燥させることによってあくぬきがされ、使える木となります。

2. 板加工

乾燥のあと板加工に入ります。箪笥の各部分に合わせて切断します。扉や引出しの前面に当たる部分は、見栄えの良い柾目を張り合わせたものを使用します。木の質、曲がりや節、傷の有無を調べ木取りします。幅2〜3cmの柾目の美しい板だけを選びます。糊付けし、板をそろえ、しっかりと固定してから圧力をかけ一枚の板にします。そして鉋(かんな)がけをして一枚の板になるよう仕上げます。

3. 組立

板を組み立てる工程です。まずは「胴」の部分(天板、棚板、地板、側板、台輪)を組み立てます。垂直に組み合わせる部分に、「組みてほぞ」と呼ばれる凸凹の切込みを入れます。そして実際に組み立てる前に、仮組調整を行います。裏板のはめ込みは、糊が乾かないうちに素早く木くぎを打ち込みます。木くぎを打ち込んだ後、くぎを密着させるためと、くぎ打ち跡を復元するために、水ぶきをします。十分乾燥させてから仕上げ鉋をします。錆びたときのことを考えて金属のくぎは使いません。桐箪笥一棹に約400本の木くぎが使われているといいます。「胴」が完成したら、次に「引き出し」を組み立てます。角や面をたたき押さえて、木と木が組みやすくします。底打ちも木くぎ、水ぶき、仕上げ削りとすすめていきます。次は「盆」の部分です。麻ひもで巻いて枠を固定します。底板をはめ込み、木くぎを外側に向け斜めに打ちます。そして乾燥させてから外側を丸くけずって完成です。桐箪笥にはあわせて50種類以上の鉋が使われていることになります。

4. 仕上げ

仕上げはまず「うづくり」をかけます。「うづくり」とは「かるかや」の根を麻糸で巻き束ねた小さい帚のようなものです。これで丁寧に磨くことによって木目を出させ美しくし、着色しやすくします。そしてさらに木目を美しく見せるため、ヤシャブシャという木になる実の煮汁と、砥の粉を混ぜたものを何重にも塗り重ねます。最後は蝋を引きます。そして扉をつけ、引出しを合わせ、最後の最後に金具をつけると完成です。

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