べっこうざいく
べっ甲細工
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飴いろに光り輝く上品な豪華さ、海の宝石といわれるウミガメ「玳瑁(タイマイ)」の甲の部分を歴代の職人たちの創意工夫により見事な作品として昇華させたものが「鼈甲(べっこう)」という日本が誇る伝統工芸品です。その歴史ははるか秦の始皇帝の時代にまでさかのぼり、当時の王冠の装飾として使われていたほどの貴重なもので、その技術が300年ほど前、国際貿易の街長崎にわたってきたとされています。本来は「玳瑁細工」と呼ばれるべきこれらの作品が「べっ甲=すっぽんの甲」と呼ばれているのは、江戸時代贅沢な品々を禁止されていた時期に、商人たちが「これは絢爛豪華と言われる玳瑁の甲ではなく、品質が悪いべっ甲でございます」と言い訳して逃れていたことの名残とか。このことからも、当時は玳瑁細工を持つことができる人たちは、身分の高い人に限られており、私もいつかは玳瑁細工の品を持ちたいという憧れの品でした。それが身分制度が崩壊し、少しずつ一般の人たちも手に入れられる存在となり、今ではお土産品や贈答品とし高い評価を受けるに至ります。
そんな商人たちの努力により今も引き継がれているべっ甲ですが、平成5年のワシントン条約により玳瑁の輸出入の禁止が命じられ、今は材料が手に入らず国内の在庫のみで製作を行っているという状況になっています。
べっ甲細工は別名、水と熱の芸術と称され、その製造過程において接着変形に至るまで、接着剤などの副材料を一切使うことなく製作されます。作品ができるまでの大きな流れは以下のとおりです。
1.デザイン
文字通り製作物のデザインを行います。単純な絵ではなく甲のパーツのイメージを考えながら作成します。
2.生地選び
デザインに見合う甲羅を選び、デザインに従った型紙を当てていきます。
3.切りまわし
型紙どおりに甲羅を糸のこで切断していきます。
4.きさぎ
切り出した甲羅の表面を削り、滑らかにしていきます。
5.火ばし
大きなはさみ状の工具で接着すべき甲羅をその圧力を使って仮に接着していきます。
6.万力(まんりき)
水と熱により甲羅が重なる接着部分を圧縮していき一定の厚みの生地を作っていきます。
7.押しごて
甲羅をほかの材料(例えば木材など)に接着して作品を作る際、同じく熱したこてを使い熱により接着していきます。
8.彫刻
デザインに従い表面に彫刻を施していきます。
9.磨き
表面に磨きをかけていきます。これによりべっ甲細工独特の美しい光沢が出ます。
10.組立
デザインに従いそれらのパーツを組み立てて完成です。
一つ一つの材料となる玳瑁の甲は当然千差万別。それにより作られる品々は、世界に二つとない作品であり、しかも決して他の材料では得ることができないその深い光沢と美しさ。日本人の繊細な美意識と、同じく繊細な職人の技の集大成「べっ甲細工」をいつか手にとってみてください。
べっ甲細工の主な産地
「長崎べっ甲」 長崎県長崎市
「なにわべッ甲」 大阪府大阪市、東大阪市、八尾市
「江戸べっ甲」 東京都


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